軽やかな装いで過ごす夏から、少しずつ着こなしを楽しめる秋へ。
この秋、aLORSが提案するのは、素材や色、柄を重ねながら楽しむ、豊かなレイヤードのスタイルです。
ただ服を重ねることではなく、「素材を重ねる」こと。
硬さと柔らかさ、艶と素朴さ。
異なる質感や表情をあえて重ね合わせることで、一着の服の中にも新しい表情が生まれます。
一人の女性が、その日の気分や状況によって異なる顔を見せるように、一着の服にも素材の組み合わせによって、複数の表情が宿る。
それが、今回aLORSが考えるレイヤードのスタイルです。
26 Autumn Capsule Collectionのテーマは、
「UNE FEMME, TROIS VISAGES」
私の中にいる三人の私。
知的で、自由で、少し反抗的な私。
華やかで、情熱的で、夢を見る私。
静穏な官能を秘め、自分の魅力を知る私。
一人の女性の中にある、異なる3つの顔を、服を通して表現しました。
今回は、クリエイティブディレクター COCCOが描いた、一人の女性の中にある3つの顔と、ディレクター AYAが考える「装うことの楽しさ」から、その背景をご紹介します。
【一人の女性の中に存在する3つの顔】を、服に落とし込む
今回のコレクションでCOCCOが最初に手をつけたのが、ブラウス「Odette」でした。
Chemise Odette|可憐さの中にある意志
「白鳥の湖」のヒロインとして知られるOdette。
美しく、優雅で、穏やかな白鳥ですが、水面の下では前へ進むために絶えず脚を動かしています。
人には見えないところで日々を懸命に生きながら、それでもしなやかに前へ進んでいく。
そんな白鳥の姿に、現代を生きる女性を重ねました。

柔らかなウールには、空気を含むような立体的なフリルをたっぷりと。
一方で、襟やカフスには少し鋭さを持たせ、内側にある意志の強さを表現しています。
可憐でありながら、ただ甘いだけではない。
その多面性を、一着のブラウスに込めました。
Chemise Claude|理性、自立、そして少しの反骨心
Claudeは、男性にも女性にも使われる名前。
男性か女性か。ひとつの属性にすんなり収まらない、その曖昧さからデザインを考えていきました。
ワークシャツやウエスタンシャツを思わせるポケットやべっ甲調のメタルボタン、マスキュリンなチェック柄。
そこに思い切ったクロップド丈と長めのカフスを合わせることで、少し生意気なくらいのバランスに。

このシャツに重ねたのは、
理性、自立、そして少しの反骨心を持つ女性です。
レッドとグリーンも、別々の人物を表しているわけではありません。
「同じ人が、今日は赤を選び、別の日には緑を選ぶ。そのくらいの違いです。」
人間って、そんなにいつも同じ気分ではないから。
Chemise Maude|強さと柔らかさをあわせ持つ女性
Maudeという名前には、「戦いにおける強さ」という意味があります。
COCCOが描いたのは、ただフェミニンなだけではない女性。

考える力があり、自分の足で立ち、生命力がある。そして、生きることの喜びを知っている。
そんな女性の、内側から滲み出る美しさや強さを表現するために、キュプラ素材を選びました。
デニムのように見えながら、光沢と柔らかな落ち感を持つ素材です。
胸元から身体の中心へ入れたギャザーによって、肌を見せなくても身体の曲線を感じられるように仕立てています。
「人に見せつけるような色気ではなく、自分の中にこっそり持っているもの。」
その静かな官能を、インディゴブルーで表現しました。
3つの顔に共通するもの
3着を通してCOCCOが大切にしたのは、それぞれをまったく別の人物として描くのではなく、「ひとりの女性の中に共存する異なる表情」として成立させること。
キャラクターを演じるための「衣装」にならないよう、それぞれに個性を持たせながらも、日々のワードローブに自然に取り入れられるリアリティを大切にしました。
3着のスタイルはそれぞれ違っていても、その根底には、aLORSが大切にする同じ女性の品や佇まいがあります。
装いによって、変わる自分を楽しむ
今回のコレクションに込められているのは、
「一つのスタイルに自分を決めなくていい」という考え方でもあります。
今回のコレクションを考える中で、AYAの頭に何度も浮かんだのが、「揺蕩う」という言葉でした。
水面に浮かぶものが、風や波に合わせてゆらゆらと行き来するように、私たちの興味や関心も、一つの場所には留まっていません。
女性らしい装いに心惹かれる日もあれば、マスキュリンなものを身につけたくなる日もある。
端正に整えたいときもあれば、少し肩の力を抜いて、奔放に楽しみたいときもある。
だから、「私はこういうスタイルの人間です」と、一つに決めてしまう必要はないのだと思います。
その日の気分や心の動きに合わせて、素材や色、アイテムを自由に組み合わせてみる。
そうすることで、いつもの服にも、また違った表情が生まれます。
時には知性あふれるモードを。
時には華やぎに満ちたエレガンスを。
そして時には、心地よい抜け感とともに自分らしく。
華やかなOdetteを、あえていつものデニムに合わせてみる。
Claudeを女性らしいヒールと合わせてみる。
Maudeをカーゴパンツと合わせて、少しドライに仕上げてみる。

「こう着るべき」という決まりはありません。
その日の気分のまま、いくつもの自分の間を揺蕩う。
あれでもない、これでもないと試しながら、自分のために選ぶ。
その尊い時間から生まれる装いにこそ、その人らしいエスプリが宿るのだと思っています。